◆【Autumnal Tints(秋色)】曲目解説
ふと風の匂いに季節を感じる瞬間、例えようもない 切なさと郷愁を味わう。とりわけ秋はその感が大きい。暑い夏が終わりを迎えた頃、気がつけばいつの間にか虫の音が変わっていて、 朝晩の空気がやけに透明になり、雨がひどく冷たく感じる。晴れた日の空はくっきりと青く、木々の色が暖色へと変化する。それらを実感してまもなくすると、風の冷たさが肌を刺すようになり、そして冬。秋はあっという間だ。その短い時の中を背景は目まぐるしく変化する。果敢ないけれど、どこか贅沢。きっと、過去の想い出やそこで感じた嬉しさや哀しさなど、たくさんの印象が自分にとって他のどの季節よりも良かったのだろう。それらが秋の空気とシンクロして不意に感じる瞬間、 とてもいい気分になる。 カラダはちゃんと記憶しているのだ。                        
高柳好弘


高柳好弘 : 1978年愛知県名古屋市出身。愛知県立芸術大学音楽学部作曲専攻卒業、同大学院在学中。 これまでに作曲を小井洋明、北瓜道夫の各氏に師事。学部在学中、名古屋フィルハーモニー管弦楽団メンバー演奏による室内楽作品を発表。光が丘女子高等学校創立40周年記念ミュージカルでは編曲を担当するなど、各方面にて幅広く活動。
作品に、弦楽四重奏の為の「JOKER」、木管六重奏の為の「月と太陽」、金管と打楽器の為の「交響的空間」、オーケストラの為の「夕闇と樹々たちの残映」など、他多数。

◆指揮者の言葉
美しいメロディが現れては消え、又別の歌が聴こえてくる。その度に違う印象を夫々の人に与える。高柳先生からこの曲の説明を頂いたとき、秋という季節が見せる様々な表情そのものだと解ったような気がした。曲の冒頭から成す響きも、その後の展開も、各パートの役割も……、全てにおいてこれまでのマンドリン曲には無い新鮮さが嬉しかった。 しかも、演奏が技巧的に大変難しいことにも関わらず、何故か不思議と、自然に接するように曲に入り込んでしまい、途中とても神経を使うところがあるのにも、最後にはとてもリラックスさせた気分にさせてくれる。こんな素晴らしい曲を作曲していただきました。高柳先生、本当に有難うございました。 若松茂樹
◆メンバーの言葉
知人の紹介で高柳先生に作曲を依頼したのは2003年2月頃だったと思います。「激しさがあり、日本的できれいなメロディのある曲」という要望を出して作っていただきました。弾いてみた感想は、高柳先生が「秋をイメージして作った」とおっしゃられた通り、「ここは銀杏並木だろうか」とか「このメロディーは落ち葉のイメージではないだろうか」、「いろいろ転調していくのは木々の色が移り変わっていくのを表しているのでは」、といろいろ想像しながら楽しめる曲でした。今でも山の色が暖色に色づいているのをみるとこの曲を思い出します。ぜひどこかの団体に再演していただきたいなあ、と思っています
2004.1.17小川祐哉

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